日本という国は、やはり他国(香港、上海等)に比べて土地の有効活用が出来ていないのだろうか。このような超高層ビルを建設する技術はあっても、様々な規制がある以上は、地震のリスクがある云々の前に、余計な足枷で経済発展を阻害する可能性もあるだろう。東京駅周辺では、地上権の売買によってツインタワーが立つなど、普段の生活では全く気にしないこのようなことも、規制の中で生み出された虚構に過ぎない。建物が高ければ良いというのではないし、高い建物を建てればそれだけで不動産としての価値が高くなるかどうかという点については、留意する必要があるだろうが、土地神話の根付いている日本という国ではそもそも不動産の価格が適正で有り得ない。とずっと思ってきたが、どうやらアメリカの不動産価格も、最先端の金融理論を駆使したのかどうか知らないが、結局はそれを使う人間が最先端ではなかったが故か、マーケットの崩壊で幕を閉じようとしている。アメリカ国内でも不動産価格が下げている場所だけではないし、逆に上げているような順調な場所もある。ただしかし、だからと言って一部の人間が投機に走ったということで片付けるような問題でもない。
そもそも不動産の価格付けというのは、人間には無理な話である。Fair Valueというものは、十分な客観性を備えている必要があろうが、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチなどと形式ばかりを整えて、結局は不動産の本質的価値(intrinsic value)を測定できない人間は、過去の事例等にすがり、短期的な価格付けしか出来ない。不動産のAppraisalを生業とする人々が、マーケットの動向を価格に織り込むことが出来る頃には、既に不動産の価格は随分変動してしまっている。これは株のアナリストが適正価格と言って全然当たらない予想をしているのとほぼ同じである。最近流行りのM&Aにおいて、企業価値評価などという話が頻繁に出てくるが、これもまた然りである。結局はより一般的な環境に左右されるが故、微少の要因を突き詰めていったところで、結果は予測と異なることが多く、責任を問われてそこで敗退ということも多い。
人間がモノの価値を測定することなど出来ないように、人間は人間の価値を測定することが出来ない(と私は思っている)。そもそも会計の世界では、企業活動の全てを貨幣価値による測定を行うことになっているが、企業活動も不動産を利用するのも全て人間である。人間を貨幣価値で測定できないと考えれば、企業価値評価や不動産価格評価というものが、成功しうるはずがないというのは明らかであるようにも思える。金融理論も当初の試みとしては正しかったとしても、それを実務に適用する段階では恣意性が介入することは十分に考えられる。理論が一流であったとしても、無能な仲介者などが簡便に使えるようにしようということを考え始める段階で、当初の目的は既に存在しなくなっている可能性が高い。つまり亜流な価値測定方法というのが、大勢を占める頃になると、もはや市場というものは機能していないことのほうが多い。何が正しいのか分からないとアナリストが言い始めるのはこういう理由であろう。
完全市場という仮定の下においては、投資家はみな貨幣により全てを測定しうるということなのだろうか。貨幣による測定を行うことが出来ないという時点で、株式等の取引されているものは虚構であり、あるいは今高騰している原油や穀物の価格もまた虚構である。しかしそれらは無知で準備を出来ない人々の生活に確実に悪影響を及ぼしている。資本市場はかろうじて存在しているものの、既に失敗しているのではないかという錯覚?に陥る。これが当初資本主義の思想の中で描かれていたマーケットというものなのだろうか。仮に全てのものに価値があるとしても、その測定単位に多様性を認めるべき段階にあるのではないか。単一の測定単位によって評価をすることは、確かに意味があるし、そうでなければ評価というものは必要なくなってしまい、市場というものも機能しないだろう。ただ金銭的価値一辺倒で、DCFを如何に精緻に行うのかとか、そういう話はもはや枝葉に過ぎないのではないのか。
それでも利益を獲得しようと狙うものがいて、それを知らずにカモとしてネギを背負ってマーケットに参加してくるものがいる以上、半永久的に現在の市場は機能し続け、一部の者に金を送金し続けることになるだろう。私は資本主義が悪いとは思わない。単に大衆が無知なだけであり、完全市場において定義されるパーフェクトな人間から遠い位置にいるということが、資本主義という1個人如きには覆しようのない現実においては悪とされるのである。正義というものの定義によっては、自分が思っていることと違うことが正義であることはあるだろう。ただそういう場所に参加する以上は、そのような覚悟を持った上で、紙一重の状態で綱渡りに勝ち続けるという選択をするしかない。
2008年3月6日木曜日
Shanghai22~価値測定/Appraisal of the value~
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